千葉県農業者総合支援センター

雇用と求人・求職者向け情報

雇用導入の前に考えておきたいこと

雇用導入のきっかけは、経営を拡大したいが人手が足りない、一緒に働く家族の高齢化により労働力の補完が必要となった、など様々な理由がありますが、これまで家族や親戚・近所の知り合い等の労働力だけで成り立っていた経営に、新たに雇用を入れる際には次のステップを考える必要があります。以下、順番に検討していきましょう。

STEP1
どのような人材が必要か、明確にしましょう。

雇用を導入する際には、まず、どの時期に、どの程度の労動力を必要とするのかを明らかにする必要があります。
また、雇用する人材に、経営の中でどのような役割を求めるかによって、労働条件は変わりますので、事前に明確にしておきましょう。

求める人材と労働条件の例

求める人材の例
労働条件の例

3年後に新設を計画している第2農場の農場長を担う人材が欲しい

労働条件の例

  • ・正社員(雇用期間の定めなし)
  • ・給与:月給20万円~
  • ・勤務時間 :8:00~17:00
  • ・休日:週休2日制(シフト制)
  • ・雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金

高齢の両親の労働時間を減らすために、収穫・調整作業を担ってくれる人材が欲しい

労働条件の例

  • ・パート(雇用期間の定めなし)
  • ・給与:時給 1,030円~(※1)
  • ・勤務時間 :8:00~15:00
  • ・休日:土日・その他(応相談)
  • ・雇用保険・労災保険

※1 千葉県法定最低賃金1,026円/1時間(2023年10月1日時点)

厚生労働省千葉県労働局のホームページ千葉県の法定最低賃金はこちらから御確認いただけます。
また、人材(労働力)を確保する手段は、雇用以外にもあります(下表参照)。
ご自身の経営に合った最適な手段を選択することが重要です。

雇用以外の手段

方法
特徴
留意点等
請負契約による作業委託

特徴

ある「業務(作業)」について、外部の業者等へ発注・委託して、成果を得る。
(例) 作業受託組合、福祉事業所

留意点等

実際に作業を行う労働者に対して、発注者から直接指示することはできない。
作業の指示は、主に受注した請負先の責任者に行う。

人材派遣サービス

特徴

派遣会社と労働者派遣契約を結び、労働者の派遣を受ける。日本人の他、特定技能外国人材の派遣をする会社もある。

留意点等

労働者への指示は発注した農家が行う。

STEP2
経営計画の見直し(労働力や収益のシミュレーション)

雇用を導入すると、収益に関わらず一定の費用(給与、就業条件の整備等)が固定費として発生します。特に給与は、途中で下げることが難しい経費です。事前に経営計画の見直しを行い、収支のバランスが問題ないか確認しましょう。
また、経営の繁閑期に合わせて労働力の必要度が変わる可能性があります。
さらに、新たに「雇用した人材の育成」という仕事も加わりますので、必ず事前に雇用導入した場合の労働力や収支のシミュレーションを行いましょう。

STEP3
労働条件の整理

雇用契約を結ぶ際、使用者(雇用主)は労働者に対して賃金、労働時間その他労働条件を書面の交付等により明示しなければなりません。労働条件を整理するためにも、必要事項をまとめた労働条件通知書(又は雇用契約書)に条件を記入してみましょう。

労働者に書面の交付等により必ず明示しなければならない労働条件
(パートタイム労働者の場合は、その他事項あり)

必ず明示しなければならない事項
備考

( 1 ) 労働契約の期間

備考

  • ・期間の定めの有無
  • ・定めが有る場合には、更新の有無

( 2 ) 有期労働契約を更新する場合の基準

備考

  • ・更新する場合があると明示した場合は、その判断の基準

( 3 ) 就業の場所、及び従事すべき業務

備考

  • ・どこで働くのか
  • ・どのような業務を行うのか

( 4 ) 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える勤務の有無
休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

備考

  • ・何時から何時までなのか
  • ・時間外勤務はあるのか
  • ・休憩時間は何時から何分あるのか
  • ・休日はいつか
  • ・休暇は何日あるのか

( 5 ) 賃金に関する事項(決定、計算、支払方法、締切日、支払時期、昇給)

備考

  • ・時給なのか、月給なのか、いくらなのか
  • ・手当の有無
  • ・賃金の締日と支払について
  • ・賞与や昇給について

( 6 ) 退職(解雇の事由を含む)

備考

  • ・定年の有無
  • ・退職時の手続きについて

厚生労働省のホームページから、労働条件通知書をはじめとした労働基準法に関する主要な様式をダウンロードできます。

※「労働条件通知書」と「雇用契約書」は、役割が異なりますが、記載内容はほぼ同じです。まず、「労働条件通知書」で働く際の条件等を示し、採用予定者が納得すれば、使用者(雇用主)と採用予定者が署名押印して「雇用契約書」を作成、労働契約が成立します。

STEP4
雇用導入の際のルールを確認

人を雇用すると、使用者(雇用主)は労働者に対して様々な責任を負うこととなり、また、様々な法律を守る義務を負うこととなります。事前にしっかりと確認しましょう。

労働基準関係の主な法制度

  • (1)労働基準法(労働条件に関する最低基準を定める法律)
  • (2)最低賃金法(賃金の最低額を定める法律)
  • (3)労働安全衛生法(職場における労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律)
  • (4)労働者災害補償保険法(業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して必要な保険給付等を行うことを目的とした法律)
  • (5)労働契約法(労働契約についての基本的なルールをわかりやすく明らかにした法律)

農林水産省等のホームページから労務管理の基本(雇用導入の際のルール)をまとめた資料をダウンロードすることが可能です。

人材の募集方法について

求める人材や労働条件が明確になったら、人材の募集を行います。人材募集には、下表のとおり様々な方法がありますので、それぞれの特徴を理解したうえで、求める人材の募集に合った方法を選択しましょう。

様々な求人方法と特徴

方法
特徴

ロコミ

特徴

知人・友人等の紹介のため、信頼できる人材が見つけやすい。
地元の人材を集めやすい。

ハローワーク

特徴

国が運営している「公共職業安定所」で、無料で利用可能。
雇用保険の加入が必須。

職業紹介所
(無料・有料)

特徴

JAや関係団体等が運営する農業専門の職業紹介所や、民間会社が運営する職業紹介所(農業専門求人サイト等)がある。職業紹介所が仲介するため、募集や採用に関して助言などの支援を受けられる。

学校からの紹介

特徴

農業関連の学校(大学校、高校等)の卒業生を採用可能。
採用の時期が卒業の時期になる。

自社 HP・SNS

特徴

自社のホームページ等に求人情報を掲載し募集する。
自らのやり方で自社の特長をアピールしたうえで募集することが可能。また、自社の都合で随時求人情報を発信することが可能。

チラシ

特徴

掲示・掲載などによる告知のほか、新聞折込みや、プリントサービスを活用したポスティングにより、特定の地域に募集チラシを配布することが可能。

イベント

特徴

国や地方自治体等が実施する農業関連の就農イベントや合同説明会へ参加することで、直接、求職者に自社の特長をアピールすることが可能。

農業インターンシップ制度

特徴

公益社団法人日本農業法人協会が実施している就業体験で、体験者を受け入れることで、人材確保のきっかけになる。

〇農業求人webサイト「ちばの農業で働こう!」について

千葉県農業者総合支援センターでは、県内農業者の労働力確保を支援するため、農業求人WEBサイト「ちばの農業で働こう!」を開設し、県内JA等が実施している職業紹介所(職業紹介事業者※)に登録された求人情報を掲載しています。農業求人webサイト「ちばの農業で働こう!」に掲載された求人情報は、Indeed等の求人検索エンジンに自動転載されます。
※職業紹介事業者:求人及び求職の申し込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんする事業を行うもの
※農業求人webサイト「ちばの農業で働こう!」に求人情報を掲載するためには、本サイトに登録している職業紹介所を利用する必要があります。

こちらの画像をクリックするとジャンプします。

農業求人WEBサイト「ちばの農業で働こう!」
利用している県内の職業紹介所

現在、「ちばの農業で働こう!」を利用している職業紹介所の運営団体は以下のとおりです。求人情報の掲載を希望される方は、各農業協同組合(JA)へお問合せください。
※JAが運営する職業紹介所の求人者は組合員に限られます。

  • 安房農業協同組合

    お問合せ先:営農販売部(無料職業紹介担当) 0470-24-9114

  • 木更津市農業協同組合

    お問合せ先:営農推進課 0438-98-0321

  • 長生農業協同組合

    お問合せ先:営農販売部 担い手支援課 0475-24-5700

  • 山武郡市農業協同組合

    お問合せ先:営農部 営農振興課(農作業ヘルパー無料職業紹介所) 0475-82-3531

  • 市原市農業協同組合

    お問合せ先:経済部 営農販売課(無料職業紹介担当) 0436-36-5811

  • 千葉みらい農業協同組合

    お問合せ先:指導経済部 担い手対策課 043-203-0171

  • 富里市農業協同組合

    お問合せ先:営農部(販売・直販・指導) 0476-93-5652

  • 市川市農業協同組合

    お問合せ先:経済部 047‐339-1126

  • とうかつ中央農業協同組合

    お問合せ先:営農経済部 農業振興課(無料職業紹介所) 047-701-5310

  • ちば東葛󠄀農業協同組合

    お問合せ先:各経済センターへお問合せください

  • かとり農業協同組合

    お問合せ先:指導経済部 営農生活課 0478-70-7712

その他の県内の職業紹介所

〇1日農業バイトアプリ「day work」について

農業で働きたい人と働き手を求める生産者をつなぐスマートフォンアプリで、生産者が自ら操作し、必要な時期に一日単位で求職者を募集する仕組みです。
利活用ガイドライン及び操作マニュアルを参考のうえ、農業経営にアプリを御活用ください。

県内で活用している農業協同組合※令和5年11月現在
  • 安房農業協同組合

  • 木更津市農業協同組合

  • いすみ農業協同組合

  • 長生農業協同組合

  • 山武郡市農業協同組合

  • 市原市農業協同組合

  • 富里市農業協同組合

  • かとり農業協同組合

  • ちばみどり農業協同組合

  • 丸朝園芸農業協同組合

外国人材の受入れについて

農業の働き手が減少する中、農業分野でも外国人材の受け入れが進んでいます。
農業分野で外国人材を受け入れる際に活用できる制度は、「特定技能制度」と「外国人技能実習制度」です。

○新たな外国人材受け入れのための「特定技能制度」とは?

深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れる制度で、農業分野においては「特定技能1号」での受入れが可能です。

「特定技能1号」の在留期間の上限は通算5年で、「特定技能1号」を取得した外国人材は、受入れ分野に関する相当程度の知識・経験を必要とする技能を有している必要があります。そのため、技能実習2号を良好に修了しているか、技能試験および日本語試験に合格するかのいずれかを満たさなければなりません。詳細につきましては、農林水産省ホームページ「新たな外国人材の受入れのための在留資格「特定技能」について」をご覧ください。

○「外国人技能実習制度」とは?

発展途上国の青壮年労働者を一定期間技能実習生として受け入れ、実際の実務を通じて実践的な技術や技能・知識を修得させ、帰国後に母国の経済発展に役立てる国際貢献を目的とした公的制度です。

技能実習期間は最長で5年とされ、外国人技能実習機構から認定を受けた「技能実習計画」に基づいて、技能等の修得・習熟・熟達を図ります。

農業分野においても、全国の農業生産現場で多くの技能実習生を受け入れており、耕種農業や畜産農業の技能実習が行われています。

技能実習が行える職種
(農業の場合:2種6作業)

職種
作業内容

職種

耕種農業

作業内容

施設園芸

温室やビニールハウス等の施設を利用して行う園芸作物の栽培作業

畑作・野菜

畑(露地)で行う作物を組み合わせた周年栽培作業

果 樹

果樹園(温室等の施設利用を含む)を利用して行う果樹(その果実が食用に供される永年作物)の周年栽培作業

職種

畜産農業

作業内容

養 豚

豚を家畜として飼養する作業(繁殖作業、育成作業、肥育作業を含む)

養 鶏

採卵鶏(うずら、アヒル等は除く)の飼養及び採卵作業

酪 農

乳牛(将来の搾乳を目的とする子牛を含む)の飼養及び牛乳の生産作業

○技能実習生を受け入れるためには?

技能実習生の受入れは、受入機関の別により、「企業単独型」と「団体監理型」の2種類があり、農業分野の場合は「団体監理型」による受入れになります。

団体監理型とは、農業協同組合や事業協同組合など、主務大臣から許可を受けた「監理団体」が技能実習生を受入れ、その傘下にいる組合員や会員などの「実習実施者」が技能実習を実施します。

千葉県内で外国人技能実習生を
受け入れているJAグループの監理団体

監理団体
受入外国人(在留資格)

監理団体

協同組合エコ・リード 千葉事務所

住所:千葉県山武市芝山町小池1010番地2
JA山武郡市二川支所敷地内
電話:0479-85-5124

受入外国人(在留資格)

ベトナム人(技能実習1号ロ、2号ロ)

○外国人技能実習生の実習実施者
(受入農業者・農業法人)の役割

外国人技能実習生は、日本人の労働者と同様に労働関係法令が適用されます。実習実施者は、労働関係法令の遵守をはじめとして、雇用関係に基づく社会保険等への加入の必要があります。

また、技能実習法等において、以下の受入基準や要件が定められています。

  • (1)監理団体の指導の下、技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構の認定を受けること。
  • (2)事業所ごとに常勤の技能実習責任者を配置し、実習開始後に外国人技能実習機構にその実施を届け出ること。
  • (3)事業所ごとに常勤の技能実習指導員及び生活指導員を配置すること。
  • (4)帳簿書類や技能実習日誌を作成し、技能実習終了後1年以上保存すること。
  • (5)技能実習生が居住する適切な宿泊施設を準備すること。
  • (6)技能実習生の賃金が、日本人と同等額以上であること。また、熟練度に応じてアップすること。
  • (7)毎年1回、実施状況報告書を作成し、外国人技能実習機構に提出すること。

※技能実習生に対し、人権侵害行為を行った場合は、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金などの罰則があります。

技能実習生受入れのイメージ

技能実習生受入れのイメージ