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設立登記の前に...
- ■定款の認証
※農業組合法人の場合は不要 - ■出資の履行
- ■設立時役員等の選任
- ■設立時取締役の調査
- ■定款の認証
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法務局での設立登記
- ■設立登記の申請
- ■登記事項証明書等の交付申請
- ■諸官庁への提出
※農業組合法人の場合は知事への提出も必要
農業について相談したい方へ
農業経営の法人化
経営を法人化した場合のメリット・デメリット
メリット
- ・経営責任に対する自覚を持つことで、経営者としての意識改革が促進されます。
- ・家計と経営が分離されることで、経営管理が徹底されます。
デメリット
- ・会計が企業会計原則によるため、複式簿記での記帳が必要です。
- ・会計事務や税務申告を専門家等に依頼する場合には、経費負担が増加します。
メリット
- ・計数管理の明確化や各種法定義務(設立登記、経営報告等)を伴うため、金融機関や取引先に信用力を示すことが可能となります。
- ・「企業」としてのイメージ向上により、商品取引や従業員の雇用等が円滑化します。
育成
メリット
- ・労働環境の整備により、従業員の待遇向上、雇用が円滑化します。
メリット
- ・所得の分配により事業主の課税負担が軽減されます。
- ・役員報酬を給与所得とすることにより節税できます。
- ・経営が赤字になった場合に、欠損金を最大で9年間繰越控除することができます。
デメリット
- ・売上規模が小さいとかえって税負担が増加してしまいます。
メリット
- ・社会保険、労働保険の適用による農業従事者の福利増進が図れます。
- ・労働時間等の就業規則の整備、給与制の導入により就業条件が明確化されます。
デメリット
- ・年金や健康保険、雇用保険などの社会保険等への加入が義務付けられるため、社会保険料の事業主負担が発生します。
メリット
- ・個人経営から法人経営になることで、農業近代化資金や農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)などの制度資金の融資限度額が拡大されます。
メリット
- ・法人の役員や社員等の中から、有能な者を後継者として確保できます。
- ・法人として経営・取引を行うことで、事業継承後も対外信用力が継続します。
農業法人とは?
会社法人と農事組合法人
農業法人とは、経営形態によって農業を営む法人の総称です。よって、農業法人を設立する場合には、どのような法人形態にするのかを決める必要があります。
法人形態を大きく分けると、会社法人(会社法によるもの)と農事組合法人(農業協同組合法)の2つがあります。
会社法人とは?
営利目的の法人で、その中でも株式会社は、社員の地位が「株式」という細分化された割合的単位の形式をとり、出資者は特段の制限なく、出資に応じて株式数を取得できます。また、株主総会において株式数に応じた議決権(1株1議決権の原則)の行使を前提として決議がなされ、日常的な業務については、取締役が決定する仕組みになっています。
農事組合法人とは?
農業生産の協業による共同利益の増進を目的とする法人で、構成員の公平性が重視されているため、議決権は1人1議決権となっています。
また、会社法人は1人でも設立できますが、農事組合法人の場合は、構成員が3人以上必要です。
農業法人と農地所有適格法人
農業法人は農業を営む法人の総称であり、農地所有適格法人は、「農業を行うために農地を取得できる農業法人」です。
農地所有適格法人になるためには、農地法に規定された一定の要件(法人形態や議決権要件など)を満たす必要があります。
法人を設立するまでの手順
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STEP1
法人に参加する構成員を
決めるまずは、法人に参加する構成員を決めましょう。最初は家族だけで法人化する場合でも、長く安定して法人経営を続けていくためには、志を同じくする地域の農業者を構成員に加えたり、他の法人と経営を統合することも併せて検討しましょう。
【構成員の候補(個人経営)】
家族、雇用者、志を同じくする地域の農業者 など【構成員の候補(集落営農)】
集落内の農業者や農地所有者、近隣の農業法人 など -
STEP2
法人の定款と事業計画を
作成する構成員が決まったら、次は法人の定款と事業計画を作成しましょう。事業計画は、できるだけ具体的に毎年どのように経営を発展させていくかを構成員間で議論して、5~10年後までの計画(事業目論見書)として完成させましょう。売上高や経営面積等の目標を立てることも必要です。
【定款・事業計画書で決める内容】
・法人の名称
・法人の形態(株式会社か農事組合法人か)
・役員、構成員
・事業の目的や内容
・資金計画(資金の調達方法など)
・財産、設備
・生産計画、販売計画(何をどのぐらい作って、どう売るのか?)
・収支計画(どうやって利益を上げるのか?) -
STEP3
登記などの手続きを行う
登記などを行えば、法人設立の手続きは終了です。手続き等に関して必要なサポートは、各都道府県の農業会議や農業法人協会が行っています。
【法務局での設立登記の前に...】
■定款の認証
作成した定款(原始定款)は、公証人の認証を受けなければ効力を有しません。株式会社を設立する場合は、設立する法人等の本店の所在地を管轄する公証役場において、定款の認証を受けます。
公証役場で、定款の認証を受けるためには、認証手数料(5万円)のほか、収入印紙代(4万円)、定款の謄本手数料(1ページにつき250円)が必要となります。
なお、農事組合法人や持分会社の場合は、定款認証は不要です。■出資の履行
発起人は、設立時発行株式の引受後遅滞なく、当該設立時株式につき、その出資に係る金銭の全額を払込み、または金銭以外の財産の全部を給付します。
■設立時役員等の選任
発起人は、出資の履行完了後遅滞なく、設立時取締役を選任します。なお、設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定されます。
なお、農事組合法人の場合で、発起人が理事を選任したときは、その事務を理事に引き継ぎます。■設立時取締役の調査
設立時取締役は、出資の履行の完了や設立手続きの法令または定款への違反の有無等を調査します。
■設立時代表取締役の選定(取締役会を設置する会社の場合)
設立時代表取締役を選任します。なお、設立時代表取締役の選任は、設立時取締役の議決権の過半数をもって決定されます。
【法務局での設立登記】
■設立登記
法務局への設立登記は、設立取締役の調査終了日または発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内(農事組合法人は、発起人が役員を選任した日や出資の払込日から2週間以内)に行います。
株式会社を設立する場合は、登記申請の際に登録免許税(15万円)が必要になります。なお、農事組合法人の場合は非課税です。■諸官庁への届出
税務署、都道府県の農業事務所、市町村役場(税務・国民年金)、労働基準監督署(雇用保険、労災保険)、年金事務所(健康保険、厚生年金)などに必要書類の届出を行います。
※農事組合法人の場合は、法人成立から2週間以内に知事への届出が必要です。
※千葉県の場合は、管轄の農業事務所へ「農事組合法人設立届」を提出しましょう。